"Miss Otis Regrets" ”奇妙な果実”よりも深く恐ろしい
Ellis Marsalis が息子のBranfordとDuoで作った「Loved Ones」、
女性が描かれた曲を集めて作られた、とても美しいアルバムだ。
中でもEllisのソロピアノがひときわ美しい"Miss Otis Regrets"(1934 Cole Porter) 。
https://youtu.be/iCDCYjK-1nY
この曲を市川美鈴さんが歌っていて、初めて歌詞を知った。
執事がマダムに話しかけるストーリー。
「マダム、Miss Otisは今日のランチに来ることができないことを残念がっております。
なぜなら
彼女は不誠実な恋人を銃で撃ち殺してしまいました。
暴徒が刑務所から彼女をひきずりだし
柳の木に吊るしたのです。
Miss Otisは今日のランチに来ることができないことを残念がっております。」
(最後の行は、Miss Otis が死ぬ間際に自ら喋ったセリフ、という解釈もあり)
Billy Holidayは”奇妙な果実”で、リンチで木に吊るされるAfrican-americanを唄った。
当時の社会に対する、明確な抗議。
この曲に描かれるMiss Otisは?執事のいるマダムとランチをする約束をしている、多分上流階級の女性。
女性が男性を殺めた故に吊るされる、そんな時代を皮肉ったものなのか
African-americanに対するリンチを立場を入れ替えて皮肉ったものなのか
わからない分、恐ろしい。Cole Porter あなたは何を考えていましたか?